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【2026年版】AIエージェント基盤 徹底比較:Vertex AI / Bedrock AgentCore / Azure AI Foundry、選ぶ基準はどこか

AIエージェントが「実験」から「本番運用」へと移行する2026年、クラウド大手3社は競うようにエージェント基盤を強化してきました。しかし各社の発表を追えば追うほど、奇妙な現象に気づきます。機能が似てきているのです。MCP・A2Aともに、3社の主要エージェント基盤でサポートが進みつつある。メモリやマルチエージェント機能も、各社で急速に揃ってきている。では、何を基準に選べばよいのか。この問いに答えるために、3プラットフォームの本質的な違いを掘り下げます。

2025〜2026、AIエージェント基盤に何が起きたか

MCP・A2Aで技術が共通言語化した

2025年4月、GoogleがAgent2Agent(A2A)プロトコルを発表し[1]、同年6月にはLinux Foundation傘下のAgent2Agent projectへ移管されました[1]。一方、MCPは同年12月にAAIF(Agentic AI Foundation)へ寄贈されています[2]。AAIFはAnthropic・Block・OpenAIが共同創設し、Google・Microsoft・AWSなどが支援しています。急速に普及しつつあるこの2つのプロトコルにより、異なるフレームワークのエージェント同士が通信できる環境が整いつつあります。MCPのSDK月間ダウンロード数は9,700万を超えており[2]、採用が広がっています。

オープン標準化がもたらしたパラドックス

共通プロトコルの普及は、皮肉にも各社の技術差別化を困難にしました。エージェントのメモリ管理、マルチエージェントオーケストレーション、ツール統合——これらの機能は各社で急速に揃いつつあります。差が生まれるのは「どのAI機能を持つか」ではなく、「既存の企業システムとどれだけ深く統合できるか」という点に移ってきています。この構造的変化を理解した上で、各プラットフォームの核心を見ていきましょう。

AWS Bedrock AgentCore――セキュリティと長時間実行の訴求

マイクロVM分離と8時間実行ウィンドウ

2025年7月にプレビュー、同年10月にGA(一般提供)となったBedrock AgentCore[3]の最大の特徴は、セッション単位でのマイクロVM分離アーキテクチャです。各ユーザーセッションは独立した仮想マシン上で動作し、セッション終了後はメモリが完全にサニタイズされます。他ユーザーのデータが漏洩する可能性を構造的に排除した設計は、金融・医療など厳格なデータ規制下の企業に訴求します。また最大8時間の実行ウィンドウにより、複雑なマルチステップ処理や非同期ワークロードにも対応できます。

Policyによるリアルタイムガードレール

2026年3月にGAとなったAgentCore Policyは[4]、AgentCore Gateway経由のagent-toolトラフィックを実行前にインターセプトし、事前定義したルール内に動作を制限します。従来の事後的な監査ではなく、実行前の制御という点が新しいアプローチです。IAM認証に加えOAuth 2.0をサポートし、エンタープライズ既存のIDプロバイダーと接続できます。AWSエコシステムに深く依存している企業が選ぶ基盤として、セキュリティ面での優位性は際立っています。

Vertex AI Agent Builder――開発者自由度と可観測性

オープンソースADKが変えるエージェント開発

GoogleのAgent Development Kit(ADK)はオープンソースであり、累計ダウンロード数は700万を超えています[5]。Python・Java・Go・TypeScriptに対応し、100行程度のコードでエージェントを構築できます。特筆すべきはフレームワーク非依存の設計で、LangGraph、Crew.aiなど他のフレームワークで構築したエージェントも、A2Aを通じてVertex AI上のエージェントと連携できます。adk deployコマンド一つでAgent Engineへのデプロイが完結するため、開発から本番までの摩擦が最小限に抑えられています。

本番観測の深さが生む運用優位

Agent EngineはOpenTelemetryに対応したCloud Traceと、トークン消費量・レイテンシ・エラー率・ツール呼び出し数をリアルタイム追跡するダッシュボードを備えています[6]。AIエージェントは「なぜその判断をしたか」のデバッグが難しいですが、トレース粒度での観測基盤を持つことは本番運用の信頼性に直結します。Sessions・Memory Bankは2025年末にGAとなり[5]、コード実行サンドボックスもPreviewで提供されています。

Azure AI Foundry――Microsoft 365との統合が本命

数クリックに簡素化されたTeams展開

Azure AI Foundry Agent Serviceが2025年5月にGAとなった後[7]、最も注目を集めた機能はMicrosoft 365・Teamsへの数クリックでの展開です[8]。従来はEntra ID設定、Azure Bot Service構成、マニフェストファイル作成と複数の手順を要していましたが、現在はFoundryポータルから数クリックで完結します。Microsoft 365 Copilotに自社エージェントを統合できるという点は、すでにM365を全社導入している企業にとって圧倒的なアドバンテージです。

1,400超のコネクタとFabric連携

Azure AI FoundryのToolsタブは、Azure Logic Apps経由で1,400超のビジネスシステムに接続できます[7]。SharePoint、Microsoft Fabric、Azure AI Searchとのネイティブ連携も含み、企業内に散在するデータを一元的にエージェントへ供給できる構造です。2025年12月にプレビュー入りしたFoundry MCPサーバー(mcp.ai.azure.com)[9]はクラウドホスト型であり、ローカルプロセス管理が不要で、Entra認証が標準で有効になっています。

選ぶ基準はどこにあるか

既存クラウド環境から逆算する

3プラットフォームの比較を整理すると、一つの結論に行き着きます。選定の最重要基準は「どのAI機能があるか」ではなく「どのクラウド・ビジネスシステムをすでに使っているか」です。AWSに大きく投資している企業はAgentCoreのIAM統合とセキュリティ設計が即座に活きます。Microsoft 365を全社展開している組織はFoundryのTeams統合が無視できません。GCPを中心に使い、開発者のフレームワーク選択自由度を重視するなら、ADKの柔軟性とAgent Engineの観測基盤が強みを発揮します。

ユースケースで絞る残りの差異

既存クラウドと同一の選択肢になった後に見るべきは、具体的なユースケースです。長時間・高セキュリティの自律タスクにはAgentCoreの8時間実行ウィンドウとPolicy制御が適します。社内ナレッジを活用した業務自動化にはFoundryのSharePoint・Fabric連携が効果的です。マルチフレームワーク対応や本番トレースの精緻さを重視するならVertex AIが選択肢に挙がります。3社はMCP・A2Aで相互運用性を確保しており、将来的なマルチクラウド構成も現実的な選択肢になってきました。

さいごに

AIエージェント基盤をめぐる競争は、「誰が最先端のAI機能を持つか」から「誰が企業の既存資産と最も深く統合できるか」へと軸が移っています。MCP・A2Aというオープン標準が普及したことで技術的な囲い込みは難しくなった一方、エコシステム統合の深さは簡単には模倣できません。今、AIエージェントの本番導入を検討する技術者・管理者に求められるのは、最新機能の比較表を追うことではなく、自社のシステム資産と業務プロセスを棚卸しし、どのエコシステムとの統合が最もビジネス価値を生むかを問い直すことではないでしょうか。

出典

この記事を書いた人

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Yuji Oe

ソリューションサービス事業部

10年以上の業界経験(主にデータベース分野)を生かし、現在はSmart Generative Chatの導入のプロジェクトマネジメントを中心に活動。

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